■肉食が生活習慣病を増やす
アメリカ公衆衛生局の報告によると、アメリカ国内の病気による死亡者の70パーセントが動物性脂肪の過剰摂取が要因と思われる生活習慣病で死亡しているという。
動物性脂肪を摂りすぎると、コレステロールの蓄積によって動脈硬化性疾患を引き起こし、心疾患や高血圧症、糖尿病、脳血管障害などの生活習慣病にかかることが、すでに指摘されている。
食肉消費国の欧米では、こうした動物性脂肪の摂取過多による慢性病が大きな社会問題になっているが、さらに最近増加しているのが、ガンの発生である。
ガンの発生は、もちろん脂肪の摂りすぎも関係しているが、動物性タンパク質も、また大きな要因となっている。
タンパク質が体内に多くなると、トリプトファンという必須アミノ酸が腸内の細菌によって分解され、発ガン物質あるいはこれを生成する物質が促進されるからだという。
近年、アメリカでは肥満や生活習慣病を防ぐために、脂肪の少ない赤身の肉を食べる女性が多い。
しかし、赤身の牛肉を毎日食べている女性は、肉を全く食べないか食べても少量の女性に比べ、大腸ガンにかかる確率が2.5倍も高かった。
動物性タンパク質とガンの関連性を調べた調査では乳ガンの発生率も多かったという。
また、肉の中に含まれる多量の鉄分も発ガンを促進するといわれる。つまり脂肪の多い少ないにかかわらず、肉食自体がさまざまな病気を引き起こす原因になりうるということなのである。
日本でも、肉食の増加にともなって生活習慣病が確実に増えてきており、ガンの発生も多くなっている。
それまで日本人にはほとんど見られなかった大腸ガン、乳ガン、前立腺ガンなど、食肉消費国の欧米に多いガンが顕著な増加をしている。
アメリカやイギリスなど食肉消費国40カ国を対象に、統計調査が行なわれたことがある。
その結果、肉食による脂肪とタンパク質の摂取は、いずれの国でも動脈硬化にともなう心臓疾患、大腸ガン、乳ガン、子宮ガンなどと強い相関関係があることが示された。
そして、とくにガンにおいて、米、大豆、トウモロコシなどの穀物は、その発生を抑制する働きを持つことも明らかになったという。
また、カナダの専門家による調査報告では、食肉が、ガンの発生、進行を促すことは否定できないとし、野菜や繊維質食品を多く摂取する食生活に変えなければ、ますます病気が増えていくおそれがあると警告している。
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